※イベントは終了しており、本記事はウェビナーレポートの掲載となります。
現在着手している企業も多いメディアやコンテンツサービスにおけるサブスクビジネス。いくつかの企業では成功例が出てきているものの、その歴史はまだ浅く、成功パターンが確立できている企業はまだ少ないのではないでしょうか。
会員数拡大や解約防止といったマーケティング上の課題に対して、高速かつユーザーフレンドリーな顧客分析基盤によるソリューションを提供しているのがAmplitudeです。11月16日「メディア・コンテンツビジネスで活かすリアルタイム・サブスク分析」と題して、ユーザー行動分析No.1プラットフォームAmplitudeの米田匡克氏とメディア企業での新規事業開発の経験があるイー・エージェンシーの森田隆介氏がウェビナーを開催。リアルタイム分析の重要性やその可能性について提示しながら、それを実現可能にするAmplitudeの機能について解説しました。
メディアやコンテンツサービスの運営に従事されている方、コンテンツのリアルタイム分析やサブスクリプションモデルについて興味がある方、ユーザー行動分析に関する新しいツールに興味のある方は、ぜひご一読ください。
注:記事中の社名、役職名はセミナー実施時点のものとなります。
目次
リアルタイム分析はメディアにとってなぜ重要か
まずは、イー・エージェンシーの森田氏によって解説された、「リアルタイム分析がメディアにとって重要な理由」を見ていきましょう。
理由は2つ
1つ目の理由は、メディアにとって、インパクトこそ命だからです。記者や編集者、動画制作者など、メディアに携わるコンテンツメイカーの皆さんにとって「世の中の人々にインパクトを与えるコンテンツの追及」は、業務であり本能といっても過言ではないでしょう。
自分の提供するコンテンツが、世の中の人々にどれくらいのインパクトを与え、反響を得られたかという結果は、コンテンツメイカーの成果であり、ユーザーから下される評価でもあります。
各コンテンツがどれくらいインパクトを与えたかを把握することは、メディアにとって最重要テーマであり、高速で消費されるメディアのコンテンツにおいては、消費スピードに合わせたリアルタイム分析は当然のニーズです。
「跳ねるコンテンツは何か」を把握する手段として高まっているのが、リアルタイム分析へのニーズです。特にニュースなどの速報性の強いコンテンツでは、公開直後の反響をリアルタイムに見ることで、そのコンテンツが生み出すインパクトの大きさをすぐに把握することができます。
スマートフォンやSNSの普及により、1つの記事を読もうと思ってから読み終わるまでの時間がどんどん短くなっている今、リアルタイム分析の必要性・重要性はますます高まっているのです。
リアルタイム分析が重要な理由の2つ目は、インパクトの内容を知り、次の打ち手を決めるためです。リアルタイムデータを活用することで、さらに高速かつ確実に、公開後のコンテンツのインパクトをブーストすることが可能になってきました。
例えば、とあるニュース速報に非常に大きな反響が出た場合、リアルタイム分析が導入されていれば、関連記事を準備する、見出しを変える、写真を追加するなどして、インパクトの相乗効果を生み出していくようなことが可能です。
重要なのは、即座に対応することです。リアルタイム分析が導入されておらず、その反響が数十分後にならないとわからないようでは、インパクトの相乗効果を生むことは難しいでしょう。鮮度が命の現代のニュース速報では、反響の波が収まってしまってから動くのでは、“時すでに遅し”となってしまいます。
リアルタイム分析の導入は、インパクトの大小だけでなく、好みの記事や注目のキーワードなどのオーディエンスの指向や、コンテンツを読んだか、SNSでシェアしたかなどのオーディエンスの行動パターンの超高速で把握することを可能にし、オーディエンスの変化に即時対応できる環境を実現できます。
つまり「誰が、いつ、どこで、どのように」コンテンツが消費されたかを、リアルタイムで分析することで初めて、メディアはオーディエンスのニーズに対応できます。エンゲージメントの強化を図るための有効な手段がリアルタイム分析なのです。
リアルタイムの分析の現実や課題
ただし、リアルタイムの分析の現状には課題もあります。図③を見てみましょう。
ひとつは、アクセス解析で最大シェアを誇るGoogle Analyticsが新バージョンであるGA4では仕様変更され、リアルタイム計測のロジックが変わったことです。GA4では、リアルタイムデータの計測タイミングが5分間隔から30分間隔に変更されました。また、AMPページも計測対象外となり、リアルタイム分析はSLA(サービス品質保証)の対象から外されています。
もうひとつは費用の問題です。例えば一社単独でリアルタイム分析を実現するための独自のシステムを構築しようとすると、かなりの費用と時間がかかります。また、今後の技術革新に対応していくコストも視野に入れると、この選択肢も多くの企業にとっては現実的な選択肢とは言い難いでしょう。
Amplitudeのリアルタイム分析とは
「リアルタイム分析の状況について、メディア様からご要望をお寄せいただくことが多く、この機能に関するニーズが非常に強いことを痛感しております」として、森田氏が提案するのが、Amplitudeです。
ウェビナーでは、Amplitudeを活用して、実際にどう分析していくのか、Amplitude社のカントリーマネージャーである米田氏からは次のような解説がされました。
Amplitudeのリアルタイム分析では、5分ごとや30分ごとではなく、常にリアルタイムでPVも含む各種イベントを計測しているので、タイムリーにユーザーの動きを見ることができます。(集計は5分刻み)
そのため、例えば公開直後にアクセス数が伸び悩んでいる記事のタイトルを、早めに変更し改善を図るなどの施策が可能です。もしリアルタイムでデータ計測をしていなかったら、その記事のPVが伸び悩んでいることにすら気がつかないかもしれません。そしてそのまま時間が過ぎ、何の施策もできないまま、「思ったよりもPVが伸びなかった」で終わってしまっていた可能性もあります。
また、Amplitudeでは、コンテンツごとに公開から何日間読まれているのか、読まれている時間帯の傾向など、コンテンツごとの鮮度や特性を即座に把握することが可能です。さらに、初めてそのコンテンツに触れた後、ユーザーに行動変容があるのかどうかまでも分析できます。コンテンツの特性を知ることで、PV向上にむけた、より精度の高い仮説を立てることができるでしょう。例えば、ダッシュボード機能を利用して、編集者や記者毎に自分のコンテンツの反響を個別にレビューし、改善に活かしたりすることも可能です。
リアルタイム分析で重要なスピード感を実現するのが、Amplitudeです。
成功パターンが確立されていないサブスク分析への取り組み方
メディア産業において、サブスクビジネスに着手している企業も多く、いくつかの企業では成功例も出てきています。しかし、その歴史はまだ浅く、会員数拡大や解約防止といったマーケティング上の課題に対して、成功パターンが確立できている企業はまだ少ないでしょう。
メディア企業におけるサブスクビジネスの現状や課題を、森田氏は次のように解説しています。
サブスクをめぐる状況
デジタルメディアの領域では、サブスクビジネスが数少ない成長分野になりました。広告ビジネスを中心とした既存のビジネスが伸び悩む中、昨今の巣ごもりなどの生活様式の変容を反映した結果です。すでに数多くの新聞社はデジタルシフトを加速し、サブスクモデルへのチャレンジを開始しています。
そうしたチャレンジにおいては、事業としての成功事例も少しずつ出てきてはいるものの、同時に会員数拡大や解約防止といった、サブスクモデル特有のマーケティング上の課題も浮き彫りになってきています。
では、なぜメディアやコンテンツビジネスでサブスクビジネスへのチャレンジが続くのでしょうか。図③を見てみましょう。
ユーザーの生活様式の変容がトリガーになっているだけではなく、メディア側の事業環境の変化も、サブスクへのチャレンジを後押ししています。その理由の1つが、多くのメディアが採用している「PV重視の広告ビジネス」の限界です。
通常、メディアには編集方針があり、それに沿って記事や動画などのコンテンツが展開していきます。PVに基づいた広告のマネタイズが行き過ぎると、そのコンテンツの内容が「編集方針に沿っているか」や「想定読者のニーズにあっているか」よりも、「結局はPVがあればいい」となってしまいがちです。
つまり、「PVを稼げる記事」と「メディアが書くべき編集方針に沿った記事」との間に、ギャップが発生してしまうのです。PVの増減は、大きなアクセスボリュームのある外部の連携メディアからの流入に大きな影響を受けることがあります。その傾向が強ければ強いメディアほど、コンテンツを編集・編成する際に、現在のメディアオーディエンスのニーズなのか、外部での取り上げられやすさなのか…と迷いが生じてしまうことも。事業成長とメディア方針をマッチさせるのが難しくなってしまうと、事業成長の計画性が損なわれがちです。
一方、サブスクビジネスは、オーディエンスからメディアへのロイヤリティーやエンゲージメントを基盤としたビジネスです。メディアは本来その情報が必要な人、ターゲットユーザーに向けて作られるものであり、サブスクではそこに矛盾が生まれにくいのです。
つまり、目の前のオーディエンス(つまりファン)とのエンゲージメント構築をストレートに進めやすいため、サブスクでは事業成長とメディア方針にギャップが生まれにくい傾向があります。さらに、成功すれば安定的、継続的な収益基盤になる可能性をも。そのため、多くの企業がサブスクに取り組み、成功を目指して日々挑戦を続けています。
サブスクは、メディアの本来の姿、メディアが求める方向にまっすぐであり、安定的な収益源となる可能性があるものです。しかし、サブスク成長モデルには、超えなければならないハードルがいくつか存在します。図⑤を見てください。
1つ目は、ビジネスモデルの転換です。マネタイズの中心を、PVに基づく広告収入から、ユーザー課金収入に転換する必要があります。
2つ目は、それに伴って必要となるメディア方針の再検討です。オーディエンス拡大のため、根本的にメディアの編集・変更方針を再検討する必要にも迫られるかもしれません。
3つ目は、会員数拡大や解約防止などの課題に対応するマーケティングモデルの確立です。サブスクモデルを採用する上で、必須のものになります。
Amplitudeのサブスク活用法
ハードルがあるサブスク分析に対し、Amplitudeがどのようなアプローチをできるのでしょうか。米田氏から、次のような解説がありました。
サブスクモデルでも、軸となるのがコンテンツです。Amplitudeなら、サブスクと相関関係のあるコンテンツを、数回のクリックで特定することができます。そのコンテンツを訴求すれば、サブスク率の向上が期待できるでしょう。
具体例として挙げられたのが、米国ニュースメディアのSlateです。Amplitudeを使い、どのコンテンツに接触した人たちが、サブスクの継続率が高いのかなどを見ながら、サブスク向上と相関関係のあるコンテンツを特定。それぞれのユーザーに的確なコンテンツを当てることによって、サブスク率を500%も向上させることに成功しました。
サブスク転換が見込まれる人たち、3か月後にサブスクを続けている人たち、解約予兆についてもグループ化することができ、それぞれのグループごとに施策を行うことも可能です。
現代のメディアにとって欠かせないリアルタイム・サブスク分析
メディアにとって、各コンテンツがどれくらいインパクトを与えたかを把握することは、最重要テーマであり、消費スピードに合わせたリアルタイム分析は当然のニーズです。
「誰が、いつ、どこで、どのように」コンテンツが消費されたかを、リアルタイムで分析することで初めて、メディアはオーディエンスのニーズに対応できます。エンゲージメントの強化を図るための有効な手段がリアルタイム分析なのです。
また、デジタルメディアの領域では、サブスクビジネスが数少ない成長分野になりました。サブスクでは事業成長とメディア方針にギャップが生まれにくい傾向があります。さらに、成功すれば安定的、継続的な収益基盤になる可能性を秘めているのです。しかし、ビジネスモデルの転換、メディア方針の再検討、会員数拡大や解約防止などに対応したマーケティングモデルの確立など、超えなければならないハードルが存在しています。
リアルタイム分析の重要性、サブスクモデルのメリットと課題を把握し、適切な対策を取るようにしましょう。
登壇者紹介
米田 匡克
<経歴>三菱電機株式会社 情報技術総合研究所で技術者としてキャリアをスタート。その後、外資系企業に転職し、Gemstar TV Guide で取締役副社長、Entropic Communications で代表取締役社長、Chartboost、LEANPLUM でカントリーマネージャーとして日本代表を歴任。2019年よりユーザー行動分析から先行指標が求める事ができるプロダクトアナリティクスを提供する Amplitude の初代日本カントリーマネージャーに就任。
Amplitudeは、プロダクトアナリティクスという分野でNo.1の評価を受けています。プロダクトアナリティクスとは、グロースハックを自動的にできるようなユーザー行動分析プラットフォームです。NTTドコモや楽天などの大企業からスタートアップまで、 メディアも含めて45,000以上のデジタルサービスで導入いただいており、プロダクトアナリティクス・ソリューション市場の中でNo.1の評価を受けています。
ビジネスパートナーである代理店各社とともに、Amplitudeの導入から分析を含む運用支援まで一気通貫で提案・提供しています。
詳しくは日本語ウェブサイト https://jp.amplitude.com/ をご覧ください。
森田 隆介
<経歴>ビジネス系大手出版社で営業・企画・事業開発に携わり、数多くのネット事業の開発プロジェクトを担当。以降、ベンチャー起業やメディア企業における新規事業開発など、数々のデジタルマーケティング事業の立ち上げを経験。現在は株式会社イー・エージェンシーにおいて、デジマ領域の事業開発を担当。2021年4月より現職。
1999年に創業したイー・エージェンシーは、データマーケティング支援を主なサービスとして提供している企業です。データの解析・統合から活用施策の構築運用までをオールインワンで提供し、データドリブン・マーケティングの支援に力を入れています。2022年7月よりAmplitudeと提携しました。
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