※イベントは終了しており、本記事はウェビナーレポートの掲載となります。
3C分析を得意とするSimilarwebとデジタルマーケティングを手掛けるイー・エージェンシーは、新たなパートナーシップを締結しました。本パートナーシップ締結を記念して、4月10日に開催したのが、「デジタル時代の「3C分析」~Similarwebを使った事業戦略策定とは?」と題したウェビナーです。この記事では、その内容を抜粋して紹介します。
Similarwebの導入に興味がある方だけではなく、デジタル時代における「3C分析」の知見を深めたい方、事業戦略の策定や企業経営、デジタルマーケティングに関わる方、そしてSimilarwebの導入に課題があると感じている方は、ぜひご一読ください。
目次
Similarwebの紹介
Similarwebは 2013年に創業し、現在はアメリカのニューヨーク市場に上場しております。
従業員数は約1,000人。世界で12オフィスを展開し、Similarwebを利用していただいている顧客数は4,500社以上となっております。
日本でも多くの企業様でご利用いただいており、実績は充分にある製品です。
デジタル時代の「3C分析」とは?
改めて3C分析について説明します。昨今のようにデジタルが普及する以前のことですが、コンサルティングの考えを日本に持ってきた大前研一さんが、企業の事業戦略で重要であると提言されたのが<3C>です。
自社(Company)を知ること、市場や顧客(Customer)を知ること、競合(Competitor)を知ること。それぞれ3つのCをあわせて「3C分析」と大前さんはおっしゃっています。
今日、Similarwebが重要であると考えているのが、デジタルに置き換えた3C分析です。まずはその内容をご紹介します。
デジタルにおける「市場/顧客」「競合」分析を提供
デジタルにおける3C分析でSimilarwebが提供するのは、「市場/顧客」「競合」分析です。
運用しているウェブサイトやアプリなどに、「どれだけのマンスリー・アクティブ・ユーザーが実際にやってきたのか」、「お問い合わせや商品購入などのコンバージョンが発生したのであればコンバージョンレートはどのくらいか」、「流入元はどこなのか」…といった自社(Company)に関する分析は、アクセス解析ツールでご覧いただいているかと思います。
しかし、アクセス解析ツールでは、自社サービスの分析はできますが、自社以外の状況は見ることができません。
市場のコンバージョンレートと比較したい、広告を打った際の自社の集客力は競合と比べてどうなのか、トラフィックはできているのか…こうした市場や顧客、競合の情報を知りたいときにご活用いただけるのがSimilarwebです。
デジタルにおける3C分析では、自社の分析はアクセス解析ツールやBIツールなどを使いながら見ていき、プラスしてSimilarwebで市場や競合の状況を把握することで、業界全体の動向が把握できるようになります。
Similarwebで市場や競合情報を取得できる理由
それでは、なぜSimilarwebが市場や競合の情報を取得できるのかについて説明します。
我々の最も価値がある部分の1つであり、世界からも注目されているのが、Similarwebのインフラシステムです。
①データ収集
一般的に他社のデータは取りにくいものですが、我々は以下のような100以上の異なるソースを使って、合計10億以上のサイトからデータを集めています。
▼貢献ネットワーク
例えば、貢献していただいているブラウザにSimilarwebのプラグインを無料で提供し、その代わりに世界数億人分の行動データをサンプルデータとして収集しています。
▼直接計測データ
任意で提供された、アクセス解析ツールなどのデータです。
▼公開データ
クローリングを使い、ウェブサイトやアプリにどれだけアクティブユーザーがいるのか、どれだけトラフィックが発生しているのかといった情報を収集しています。
②データ合成
集めたデータを分析できるような形にするために必要なのが、合成処理です。
集めたデータは、ソースのフォーマットが違うなどの問題があるため、そのままだと分析に使用できません。整合性を取るためにデータのクレンジング作業をしたり、全ユーザーに対してどれくらいのアクティブユーザーが来ているのかを把握するために断片的なユーザーの行動を結合したりしています。
③データモデリング
続いて必要な工程が、モデリング化(データの補正)です。
先ほど申し上げたように、我々はファーストパーティデータではなく、データを色々なところから取得しています。そのため、100%のデータが取れているわけではありません。90%のデータが取れているサイトもあれば、あるサイトでは10%しか取れていない可能性があります。
Similarwebでは、自社でアルゴリズムを作成したうえで、マシンラーニングによってサイトごとにどのくらい補正が必要かを重み付けし、欠損したデータをモデリング化しています。
④データデリバリー(提供)
モデリング化による精度が、補正なしで直接データを取得した場合の±10%になることを目標として、データをデリバリー(提供)しています。
こうしたインフラシステムが、Similarwebの大きな価値です。独自のモデリング化を経ることで、市場や競合の情報を得ています。
これを自社のシステムでやろうとすると、大規模な工数がかかります。工数をかけてシステムを投入するのではなく、自社では取れないデータをSimilarwebのデータで補完してサービス拡大を行い、市場のトレンドを把握するといった使い方は、世界中で知られている大手クライアントも選択している方法です。
Similarweb管理画面のご紹介
続いて、管理画面の使い方を紹介します。
Step1:市場/顧客を知る
例として、ニュースとメディア業界の市場を分析する画面を見ていきましょう。
日本におけるニュースとメディアにて、過去 25ヶ月でトラフィックが増えているのか、あるいは減っているのかを俯瞰的に見ていきます。
トラフィックだけではなく、ユーザー数やセッション数はどうなのか、それぞれ滞在時間はどうなのかを見ることができます。企業の分析に携わる中で、市場の大きさを示す<TAM>*が上がっているのか、それとも下がっているのかを見る時に非常に有効です。
*<TAM>・・・Total Available Market(トータルアベーラブルマーケット)の頭文字を取った略称、製品やサービスが獲得可能な最大の市場規模
SimilarWebでは、トラフィックは有限であると考えています。
ご承知の通り、日本の人口は増えてはいません。逆にだんだん減っている状況です。誰かがインターネットを使って何かを行うとトラフィックが発生しますが、使用する人数は変わっていません。しかもネットサーフィンをする時間は、最大でも24時間です。
人口が変わらない中で、しかも最大24時間でどれだけネットサーフィンをするかを考えると、ある程度の規模でトラフィックは有限になってしまいます。デジタルで勝ち残る上で最初に考えなくてはいけないのが、この状況でトラフィックをどれだけ自社のサービスに持ってくるかです。
市場の状況を把握したら、次に深掘り分析をしていきます。
この画面は、どういったプレーヤーから実際にトラフィックを獲得しているのかを表示したものです。表示設定を、ニュースメディア市場の直近1ヶ月にしています。直近の動向で、どういった企業がその分野や市場でトラフィックを取っているのかを見られます。
縦軸はユーザーの成長率で、横軸はユーザー数になります。獲得しているユーザー数が多いものが右側に表示されています。この市場で最も大きいプレーヤーでも、成長率は0%に留まっており、ユーザーは増えずにある程度停滞していることがわかります。
このような飽和状態の市場においても、急激にユーザー数を増やしているプレーヤーもいます。プレーヤーごとにどういう特性があるのかを、俯瞰して把握することも可能です。
市場プレーヤーの状況がわかったら、自分の立ち位置と比較してベンチマークする企業を決めていきます。ユーザー数が欲しいのならこの企業、ユーザーを大きくしたかったらこの企業…といった具合に、どの企業をベンチマークするのかがこの画面で判断できます。
需要動向を把握する際によく使うのが、キーワードです。ユーザーが興味や関心のあるキーワードで検索をすることで、トラフィックが発生します。こちらの画像は、昨年の9月から11月の3ヶ月で、ニュースメディアで検索されたキーワードのトレンドを時系列で見たものです。
この期間によく見られたキーワードは、逮捕や地震、阪神といったものでした。他には大谷翔平さん、羽生結弦さんやその結婚相手は誰かなどの話題がありました。
市場ではどのような関心事があって、実際にトラフィックを発生させたのでしょうか。
実際にどんなキーワードが検索をされたのかは、検索サイトから入手できますが、Similarwebではより深い情報を知ることができます。実際に検索されたキーワードがトラフィックを発生させたのか、つまりクリックされたのかどうかを重視して、エンゲージメントを持っている人がどれだけいたのかを、順列をつけて表示します。検索回数は多くても、クリックされなかった場合には、順列は下がります。
Similarwebでは、関心のある市場にどれだけのトラフィックがあるのか、 そのトラフィックの中にプレーヤーがどれだけいるのか、そしてプレーヤーごとに検索キーワードでトラフィックを得ているのかどうかを見ることが可能です。
ここまでが市場、顧客を知るの説明になります。
Step2:競合を知る
ここからさらに深掘りして、競合となるプレーヤーをベンチマークするために、競合サイトの特性を見ていく方法をご紹介します。
競合の特性を知るひとつの項目が、「相手先ではどういったURLがよく閲覧されているのか」です。例として、昨年の9月から11月に競合となるA社でどのようなURLがクリックされているのかを見てみましょう。
A社では、表の上から3番目にある2023年のアマチュアベースボール選手権に関するページが急激に上昇していることがわかります。このように、Similarwebでは、ベンチマーク先ではどういった分野を得意としているのかを見ることが可能です。
競合他社のサイトがどんなキーワードで見られているのかがわかったら、次に考えるのはどうやって自分たちのところにトラフィックを持ってくるのかです。
自社として持っている記事と競合が持っている記事の内容が、重複しているとわかったとします。自社サイトに競合からどれだけトラフィックを獲得できるのか、それを調べられるのがこちらのチャートです。
こちらは、自社と競合他社でどれだけのユーザーがオーバーラップしているのかを、視覚的に表したものです。
自社が紺色で、A社がオレンジ色、B社が緑色で表示されています。それぞれのユーザーがオーバーラップしている部分が、色の重なった部分です。つまり、同じ日に自社を閲覧し、なおかつA社やB社を閲覧したという人たちが、この紺色・緑色・オレンジ色が重なった領域にいます。一番色の濃い領域が、同じ日に3社を閲覧したユーザーです。
このチャートで分かるのが、顧客のロイヤリティです。色の重なっていない単色のユーザーはロイヤリティが高いため、このトラフィックを自社に持ってくるのは難しいでしょう。色の重なっているユーザーは、自社にも他社にもロイヤリティがそれほどないという仮説が立てられ、施策によって他社からのトラフィックを誘導できるのではないかと考えられます。
次に、どのように他社からトラフィックを持ってくるのかをご説明します。
キーワードごとに、ベンチマーク先がどれだけ多くのトラフィックを獲得しているのかを、定量的に表示したのがこちらの画面です。
先ほども申したように、トラフィックを獲得するトリガーとなるのはキーワードです。どんなキーワードがトラフィックを発生させているのか、キーワードごとにどこが一番勝っているのか、負けているのか、あるいはまだブランディングがされていないのかを表示しています。
日本のニュースメディアの中で、自社と競合のあわせて5社で、どんな検索キーワードを取り合っているのかが、この画面でわかるでしょう。
表の9番目に「WBC速報」というキーワードがありますが、これは緑色のラベルで表したC社が一番獲得しています。このキーワード「WBC速報」は、C社がブランディング化しているため、トラフィックを自社に誘導するのは難しいかもしれません。
一方で、「ロシア」や「ニュース」といったキーワードは、トラフィックシェアが入り混じって混沌としています。こういったキーワードの記事を厚くする、関連する記事のプロモーションを掛ける広告を打ってみるなどの方法で、トラフィック獲得を考えるのが得策です。
続いて、競合他社がどこに力を入れているのかを知る方法をご紹介します。Similarwebでは、他社のデジタル広告の状況を見ることが可能です。
例として、去年の9月から11月の3ヶ月間で、D社がどこに力を入れたのかを分析してみましょう。
ご承知の通り、クリエイティブを使って広告出稿をする場合には、マーケティング予算を投下して、デザイナーを呼んで広告を打つ、広告媒体先を探すなど、予算や工数を使います。広告戦略を知ることは、よりプロモーションしていきたい商品を知る、つまり事業戦略が垣間見えると我々は考えています。
D社で力を入れている商品を見ると、広告のクリエイティブが若干違います。
例えば、濃いめや明るめの色で「●億本突破」という文言を訴求しているなど、クリエイティブはほぼ一緒ですが、メッセージをわずかに変えています。
これにより、広告をより効果的にするためにA/Bテストの工数を掛けて訴求されたことが推測でき、D社がこの商品に注力していること、投資していることがわかります。広告を知れば、決算発表よりも前にその会社がどこに力を入れているのかがタイムリーにわかるというわけです。
48時間でデータが出るSimilarwebなら、スピード感を持って相手の動向を見ることができます。
100以上の指標でパフォーマンスを分析
今回お話した分析機能はごく一部です。Similarwebでは、100以上の指標をもってパフォーマンスを分析ができます。
一例を挙げると、どれだけ広告予算使っているのか、広告出稿の際にどの媒体で打っているのか、ベンチマーク先はどの媒体からの流入が多いのかなどが分析できます。ベンチマーク先からトラフィックを奪う時には、最もトラフィックが流れている媒体に広告を打ち、トラフィック動線を自社に変えるといった施策を打つことが可能です。
Similarwebで市場・競合のデータを見ながら、デジタル時代を勝ち抜くためのマーケティング戦略に活用していただければと思います。
まとめ:Similarwebの「3C分析」でわかる事
デジタル時代の3 C分析について、Similarwebではどのような指標を使って行うのか、どのように分析して使っているのかといったご紹介をさせていただきました。
Similarwebが重視しているのはトラフィックです。ユーザーがページやアプリに実際に行ったかをベースにしたトラフィックに着目し、動線をどう変えていくのかをデータの提供でお手伝いします。
Similarweb伴走サービスのご紹介
ここからはSimilarwebをご検討の皆様に、よりご活用いただくためのサービスとしてイー・エージェンシーが提供する「Similarweb運用代行サービス」についてご説明いたします。
イー・エージェンシーについてご紹介
イー・エージェンシーは、広告と分析の統合型プラットフォームやDX領域におけるプロダクトの提供を通じて企業のデータドリブン経営を支援しております。
国内2拠点、海外6拠点で事業を展開し、企業様のDX戦略を支援するビジネスを展開しています。
企業様の課題をSimilarweb×イー・エージェンシーで解決
Similarwebの機能は多岐にわたっており、多くのデータを取り出せるものです。今回のセミナーを通して、様々な知見や今後の戦略策定に役立つツールだとご理解いただけたのではないでしょうか。
まだSimilarwebを使っていない企業の方の中には、運用するノウハウがない、分析担当者がいない、使い方や分析方法などを習得する時間がなかなかないといったお悩みもあるかと思います。
「Similarwebをうまく使いこなせないのでは」という課題を、我々が解決いたします。
Similarwebのわからないことは、すべてイー・エージェンシーにて回答いたします。また、運用体制を作ることも、業務の一部をアウトソースしていただくことも可能です。分析レポートの作成だけして欲しいといった内容でも、お気軽にご相談ください。
Similarwebご支援サービスラインナップ
イー・エージェンシーでは、それぞれのフェーズに応じた支援サービスを提供しています。
導入フェーズでは、環境構築として皆様用のアカウントを用意の上、ご利用を開始していただきます。運用フェーズでは、ステップ4~6までの操作方法についてオンボーディングサポートを行います。操作方法のレクチャーやレポートを作成して定例会で報告するなど、あらゆる形での支援が可能です。
これから利用しようという方、すでに無償版を使っていてSimilarwebの有償サービスについて聞いてみたい方など、まずはお気軽にお問い合わせください。
登壇者紹介
米田 匡克 SimilarWeb カントリーマネージャ
<経歴>
三菱電機株式会社 情報技術総合研究所で技術者としてキャリアをスタート
その後、外資系企業に転職し、Gemstar TV Guide で取締役副社長、Entropic で代表取締役社長、Chartboost、LEANPLUM、Ampliutde でカントリーマネージャーとして日本代表を歴任
2023年12月より市場/競合分析ができるSimilarWeb の日本 カントリーマネージャーに就任
森田 隆介 株式会社イー・エージェンシー 経営企画室 室長
<経歴>
ビジネス系大手出版社で営業・企画・事業開発に携わり、数多くのネット事業の開発プロジェクトを担当。以降、ベンチャー起業やメディア企業における新規事業開発等、数々のデジタルマーケティング事業の立ち上げを経験。現在は株式会社イー・エージェンシーにおいて、デジマ領域の事業開発を担当。2021年4月より現職。
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